私だけの八百万の唯一神(LAP010)

子ども関連業種のための交流読書会
LAP-Liberal Arts for Professional-
第10回についてです。
 
高崎の拠点、パンダのしっぽ様での記念すべき第10回。
児童養護施設職員さんが今回も多数派で2施設3人。
ご贔屓頂いているカウンセラーさんと小学校の先生、
そして今回はなんと、高崎市議会議員の先生にもご参加頂きました。
 
トルストイによる民話短編集
『人はなんで生きるか』(トルストイ、1932、岩波書店)
から同タイトルの一編を題材にした議論は、
今の時代の我々には、なかなか触れづらい
「神様」とか「宗教」というテーマに踏み込んだ議論になりました。
 
今回の題材であった『人はなんで生きるか』の著者トルストイは、敬虔なキリスト教徒だったようです。
 
現代の日本に生きる私たちの多くは、「宗教」という言葉を聞くと、時折、警戒してしまうようなところが、正直なところ、あります。
何を信じるかということは権利として保障されているはずなのに…
 
今回の参加者さんに、生来から信仰をお持ち
という方がいらっしゃいました。

人の思想と人生を大切にしながら、丁寧に人生を歩んでおられる誠実な方です。
また、お勤めの法人や卒業した学校が特定の宗教にゆかりがあるという方も。
私も仏教系の大学で修士までを過ごしました。
 
さて、このLAPという企画は、「子ども関連業種」と括っていますが、異業種交流会でもあります。
 
なぜ異業種と交流する必要があるのか。
それは、相手に対する誤解、酷ければ偏見や差別というのは、相手について無知であることによる場合が多いからです。そもそも、人間関係の摩擦は「誤解」の積み重ねです。
 
漫画『ワンピース』にこんな場面があります。
貴族に奴隷にされていた人間の女の子が、異なる人種の「魚人」のしかも「海賊」に助けられます。
虐げられ続けた女の子とある魚人の船上でのシーン。

“何をそんなに脅える…”
“…だって 何も知らないから…”
 
そんなひとコマ(2コマですが)を思い出し、
今回はその信仰をお持ちという参加者さんに、かなり突っ込んだ質問をさせて頂きました。
 
が…
さすが宗教家と言いますか、その参加者さんは、どの質問にも本当に誠実にお答えくださいました。
 
—ブッタにマホメットにキリストに…。会っていたら、意気投合して人類の平和とか盛り上がって話すと思う。—
そういえば、そんな漫画もあります。ブッダとイエスが立川で仲良く暮らしている漫画。マホメットは描くのがNGなのかもしれません。
 
—根底の幸せを願う心は同じ。後々の人たちが宗教のための戦争を起こしたのは、悟ったひとたちからすれば、「ちょっとまってくれよ」という思いなんだと思う。―
本当にそうだと思います。
きっとそうだと思います。
 
—哲学とか、信仰とか、本の一説だったりが生きる力の糧になったり、生き方の羅針盤になったりしている。羅針盤が同じだからといって、皆同じかというと感覚は違ってくるから、それぞれ十人十色と思っている。—
「異なる思想」でも人はそれぞれ「同じ」なのではなく、
「同じ思想」でも人はそれぞれ「異なる」ということ。
だから「分かり合う」ためには「知り合う」ことが必要。
コミュニケーションが必要ということ。
 
「勧誘」ということについても
—おいしいケーキ屋さんをお勧めするくらいの感覚—
私が読書や勉強、人との交流を勧めるのと同じ感覚。これらは、自分との「対話」でもあります。
 
何度もご紹介しているV.E.フランクルは、
“あなたが自分自身に向かってこれ以上ない誠実さで語りかけ、本当の孤独の中で語りかける時にはいつも、実はその相手になっている人、その人のことを神と呼ぶのだ。”
特に無神論者にとっての「神」をこう定義しています。
 
話題が「宗教」であったり、「神」であったり、「信仰」である必要はないということです。本当に誠実に考えているときであれば、それは宗教的な対話と言えます。
 
そういえば今回も、このLAPでは、本当に真剣なディスカッションが為され、
「問い」と「熟慮」と「答え」が、
話題ごとに「八百万」に、
人それぞれ「十人十色」に
他でもない自分にとって「唯一」のものとして広がっていました。
 
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
〇LAP推薦図書10.1
『人はなんで生きるか』(トルストイ、1932、岩波書店)
『聖☆お兄さん』(西村佳哲、2003、晶文社)
『ワンピース』63巻(尾田栄一郎、2011、集英社)
『<生きる意味>を求めて』(V.E.フランクル、1999、春秋社)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

Q-jack project 〜子どもたちの未来のために…〜

「子どもたち」が担う「未来」のために 私たち「大人」が 誰でもできること。 誰もがすべきこと。 それは、 私たち「大人」、個人が 「自分らしくなる」ということです。 これからの子どもたちをリードし、見本となれるのは、子どものようにエネルギッシュで、希望に満ち、日々を楽しみ、成長し続ける大人です。 Q-Jack projectは あなたがあなたらしくなるための プロジェクトです。

0コメント

  • 1000 / 1000