本当に怖いんだって‼(LAP007)
子ども関連業種のための交流読書会
LAP-Liberal Arts for Professional-
第8回までの歩み。セミファイナル。第7回について。
カフェドローム様にて『モモちゃんとアカネちゃんの本』シリーズを題材に、女性5人がディスカッションをし、アフターで女子会が開催されたのが第7回。
今回は、ディスカッションの中で主要な話題となった「子どもにとっての恐怖感」ということについてお伝えしたいと思います。
取り上げた物語「だれかさんのうしろにへびがいる」は実在する「ごっこ遊び」だそうで、保育士さんお三方は、流石!ご存じでした。
この遊びは、その名のとおり、「おまえの後ろに蛇がいるぞ!」と怖がらせる鬼ごっこのような遊びのようですが、主人公のモモちゃんは本当に蛇が追いかけてくると思ってしまうほどの恐怖を感じています。
出題してくださった保育士さんは
―子どもの目線から見て“蛇”って怖いものがあるなあって。大人は簡単に言っちゃってることもあるんだけど、(言われた)子どもにとっては死んじゃう程に怖いものがあって。言う事を聞いて、大人は「よかったね」ってなってるけど…―
この物語を選んだキッカケだそうです。
大人が簡単に「鬼が来るよ!」「蛇が出るよ!」と言ってしまう場合、それはあくまで大人にとっての「鬼」や「蛇」であって、多くの場合、子どもに「言う事を聞かせる」ための手段です。
絵本『おしいれのぼうけん』で2人の男の子が、叱られて入れられたおしいれのなかで、怖い話に出てくる“ねずみばあさん”に遭うというシーンがありますが、これに通じるものがあります。
モモちゃんや2人の男の子のように、実在するものが実際に襲ってくるのではないかという感覚は大人はなかなか持つことができません。
ちなみに大人でも同じような恐怖を感じることはあります。
PTSDに代表されるような外傷性のストレス反応です。
戦争帰還兵は「敵がいつ襲ってくるか…」という恐怖を抱え続けたと言われています。
戦争とまではいかなくても、重大な事件や事故に巻き込まれた場合に起こり得るのが「トラウマ」反応です。
当然、ある程度の恐怖感は、危険回避のためのシステムとして人間にとって必須のものですし、 “なまはげ”に代表されるような日本の伝統としての文化も軽視されるべきものであるとは思いません。
それはそれとして子どもに伝えていく義務が大人にあることは間違いありません。
それでも、ディスカッションの中で、「最近は、なまはげも、『ウチは結構です!』って断る家も出てきたんですってね!」とのことで(初耳!)
子どもに代わって大人が責任をもって判断することが(「アドボケイト(代弁)機能を果たす」と言います)できるのであれば、繊細な子どもが必要以上に傷つかずに済むということもあるかもしれないと嬉しく思います。
手段として「脅し」が用いられることを間違いだと主張すること。たとえ文化といえども個々の自由意志が保障されること。
これもひとつの「権利擁護」です。
以上が第7回のLAP-LiberalArts for Professional-ご報告でした。
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〇LAP推薦図書7
『モモちゃんとアカネちゃんの本(3)モモちゃんとアカネちゃん』(松谷みよ子、1974、講談社)
『モモちゃんとアカネちゃんの本(6)アカネちゃんなみだの海』(松谷みよ子、1992、講談社)
『おしいれのぼうけん』(ふるたたるひ・たばたせいいち、1974、童心社)
『本当の戦争の話をしよう』(ティム・オブライエン、1998、文藝春秋)☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
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